子宮頸ガンになってしまったFTMTSでございます。


by jack-dancer
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2006/01/07 リセットボタン ▲◎△△

おれは数年前から、とあるオンラインゲームにハマっている。
とても不思議なゲームで、一般的にはドラクエとかファイナルファンタジーと同様、「ロールプレイングゲーム」と呼ばれる種類のものだが、たぶんこういったゲームに対する一般的なイメージは

 「モンスターを倒す」
 「お姫様を助ける」
 「勇者になって悪者と戦う」

というようなところだと思う。

しかしおれがやっているゲームは、何度も言うが、とても不思議なゲームだ。
ゲームの中に独自の時間があり、外界の6倍の速さで時間が流れている。
日が暮れたり、朝になったりもするし、ゲーム内で時計を見れば「今、ゲーム内世界では●●時」ということがわかったりもする。

あまりその時間自体に意味はないのだが、「意味のない情報を流す」ということで発生するリアルさがある。

しかもこのゲームは「何もしなくてもいい」ゲームなのだ。

モンスターと戦いたくなければ自宅を作って友人とダベっていてもいい。
友人がいなければ引きこもってインテリアに精を出してもいい。
家がなければにぎやかな街に出かけて、だれか雑談の相手を探してもいい。
雑談さえもおっくうなら、だれかの話を立ち聞きしているだけでもいい。

もちろん「ドラゴンを倒す」ということがやりたければそうしてもいいし、「武器作成の匠になる」ことが目的であればひたすら努力を続けてもいい。

「何かしなければいけない」ということがないゲームは究極のオトナの贅沢だと思う。

さて、そんなゲーム・ウルティマオンラインには結構なユーザーがいて、さまざまなホームページが存在する。

その中に「リセットボタン」というHPがあった(現在更新停止)。
数千人が同時にログインするゲームで本当に偶然にすれちがっただけの二人が、友人となり、無二の相方となり、そしてひとりがゲーム内でなく現実の世界を卒業してしまったために訪れた突然の別れまでの、1年とちょっとの間の出来事を記したサイトである。

そしてそこには、残されたものの慟哭と、残していくものの小さな気遣いと、オンラインで知り合っただけの顔も知らない誰かに対する、具体的な形にならない暖かさがあった。

「優しさ」「思いやり」「感謝」なんて、言葉にしてしまうと陳腐で気恥ずかしく、胡散臭く感じることさえあるが、等身大の表現で、ゲームというメディアをフィルタにして語られた短い文章には、お涙ちょうだいのエセドキュメンタリーには存在しえない、現実よりもリアルな何かが行間にある。

ギルドRe:最後のあいさつ

この病気になったとき、ファミコンみたいなリセットボタンが人生にもあればと真剣に考えたことがある。

でもリセットボタンはないのだから。
とりあえずこの、おれだけにしか過ごせない人生を走り続けよう。
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by jack-dancer | 2006-01-07 11:58 | 術後0~1年