子宮頸ガンになってしまったFTMTSでございます。


by jack-dancer
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2005/04/01 告知の日 A side

妻はおれと同じ職場でおれのサブをやっている。
おれは仕事の話をするときのような、事務的な口調で、病名を告げた。

妻も普段会社で申し送りを受けるときのような顔つきで何度もうなずいた。

泣きたいのか、怒鳴りたいのか。
すべての感情を飲み込むような、そんな表情だった。

普段どおり残業をして、普通に話したり笑ったりしながら、いつものように帰り道は健康のために少し散歩したりして。

 信じられないよ。
 だっておれ、このままウチまで歩けそうな気分だよ。
 こんなデブのガン患者なんかいるわけないよ。

夕食をとるために立ち寄った妻の大好きなごはん屋。

 そりゃさあ、ガンだなんていわれたら食欲ないよ。
 まあ1日くらいメシ抜いたってどうこうねえよな。
 だっておれ、こんなにデブなんだからさ。

その店で最後のタバコが切れた。

 おれ、タバコも酒も今日でやめるわ。
 副流煙っておまえの健康にもよくないだろうしさ。
 手術のときに麻酔きかなかったらヒサンだもんな。

部屋に戻り、このブログを立ち上げ、習慣となっている「タモリ倶楽部」を二人で見た。
妻は疲れていたのだろう、いつのまにか眠っていた。

本を読む。お茶を飲む。電気を消してみる。またつけてみる。
1時・1時30分・2時。
時間だけが流れていて、思考も本のページも止まったままだ。

 怖いよ。
 どうして今なんだよ。
 どうしておれなんだよ。

最良の妻と知り合い、ともに生きることができると、心の底から、本当に毎日すべてのことに感謝してきたのに。
「初期ではない」という絶望と「手術でとりきれそうだ」という希望がただぐるぐるアタマの中を回る。

いつか妻は目を覚まし、おれの肩を抱きしめてくれていた。
深夜の部屋、ふたりで声を上げて泣いた。

でも。
このひとをこんなふうに泣かせるために口説きおとしたわけじゃない。
誰よりもこのひとを理解していけるのはいおれだけだと確信していたから。
そしてこのひとならおれを理解してくれると信じていたからだ。

妻はこういった。
「あたし、あなたより先に死なないって約束したから。
いつかはこういう思いをしなければいけなかったの。
でも突然死んじゃうより、覚悟ができるいまのほうがずっといい」

それならいまのおれにできることは。

くよくよせず、検査の結果をおとなしく待ち、食事をきちんと摂り、普段どおりにすごすこと。
そして立派に回復して、こんな日記を笑い飛ばせるような日を迎えること。

そしておれは導眠剤を飲んで眠りについた。
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by jack-dancer | 2005-04-02 13:07 | 告知まで